第4回 位相差観察法
これまで紹介した透過・明視野、暗視野、落射の三つの観察方法は、光の当て方や角度を変える方法です。それに対して、光の波長を利用した観察方法が、位相差観察法になります。
顕微鏡が一番苦労をする被写体は、無色透明なものです。無色透明な被写体を観察する場合、基本的には、染色し明視野観察で観察することなりますが、被写体が変質する可能性があります。つまり、生きたまま観察できなくなるという課題があります。
ここで、位相差観察法の出番になります。透明体にコントラストをつけたり、輪郭を浮かび上がらせたりして可視化するので、被写体を生きたままの姿で観察できるのです。
それでは、位相差観察のメカニズムとはどのようなものでしょうか。
光の波長特性を生かして位相板によってその波長をずらすことで干渉効果をおこし、位相板の真ん中と端を通った光の位相をずらすことによるその干渉効果を利用して、被写体の輪郭を強調するのです。
ここで言う「干渉」とは、複数の波の重ね合わせによって新しい波形ができることです。干渉ができている部分は、位相の異なる複数の波が重なり合い、波長が強くなったり弱くなったりします。その差異を生かして、被写体にコントラストをつけることが可能になります。この様な位相差による観察方法には、ダークフィールド(ポジティブ)とブライトフィールド(ネガティブ)があり、位相のずらしかたでどこを強調するかによって、2種類の観察方法が可能になります。
文章で書くと比較的簡単な様に感じますが、実際にこの位相差光学系を構成することは技術的に結構難しく、コントラスト性の高い映像を出すことは難しいとされています。
朝日光学では、今後も高い技術を求め取り組んでいく所存であります。