私たちが学校の授業で馴染んできた顕微鏡は、肉眼では見えないものを拡大して観察する装置です。その用途は学校の授業はもちろんのこと、様々な分野の高度な研究にまで及んでいます。
ここでは光によって拡大像を作る光学顕微鏡の観察法を、4回に分けてご紹介していきます。
第1回 透過・反射明視野観察法
もっとも基本的な観察方法です。自然の光をいじらずにそのまま取り入れて、照明された試料を対物レンズで拡大し、観察・表示・記録していきます。
被写体がプレパラートの様な透過性の高いものを観察する場合は、下から光を入れることで明視野となり、対象を透過して観察することから透過明視野観察法となります。
また、被写体が反射率の高いものを観察する場合は、その被写体に光を反射させて観察する反射明視野観察法となります。
世の中にある多くの観察物は、このどちらかで顕微鏡観察が可能になります。
明視野観察法の代表的な透過観察についてもう少しお話させていただきます。
透過明視野観察法の主な観察物は、自然界の微生物等になります。微生物は大方、透明体で色がついていない物がほとんどのことから、その物体に特有の色素を用いて染色し、色の違いを明確化して観察いたします。この染色技術は、古くから確立されていきました。染色したサンプルの観察方法は、光学顕微鏡のもっとも一般的な手法として、医学、生物学、化学などの研究や検査に用いられ、各分野の発見と発展を支えてきました。
ただ、試料を染色することで生きたままの観察が出来ないという問題もありました。生体が死滅したり、機能が損なわれたりしてしまうことが往々にしてありました。
この顕微鏡標本の作り方や染色方法は、視野体の薄切りの技術や固定剤の使い方等さまざまな工程を経ることから現在でも未だ研究されています。
近年では、屈折、散乱、回折、干渉、偏光、蛍光といった光の性質を利用したいくつもの観察法が開発され、試料を生きたまま観察することもできるようになってきました。光の性質をかくも幅広く応用した光学器械は、光学顕微鏡をおいてほかにないと言っても過言ではないでしょう。
朝日光学は古くから、透過明視野型生物顕微鏡を製造してきました。顕微鏡やデジタルマイクロスコープの原点ともいえるこの生物顕微鏡を製造することで、これからも微細な被写体を観察する奥深さと向き合っていきたいと思います。